
1400年の時を超え、
日本芸能の源流が今、再び動き出す。

シルクロードの終着点・飛鳥から、世界へ。「越境」する仮面劇
「越境」と「循環」のストーリー
飛鳥から世界へ:1400年の時を超えた文化の還流と「越境」の祈り

1400年前、飛鳥は多様な文化の終着地でした。シルクロードの終着点として、ギリシャ、ペルシャ、インド、そして中国大陸の風がこの地に流れ着き、多様な文化が混ざり合うことで「伎楽(ぎがく)」という奇跡の芸能が花開いたのです。日本はこの外来の文化を単に模倣するのではなく、独自の感性で「受容と昇華」を繰り返し、大切に守り抜いてきました。
今、私たちはこの飛鳥の地から、世界へ向けて「お返し」を始めます。それは、かつて世界から受け取った文化のバトンを、1400年という熟成の時を経て再び世界へと還流させる、壮大な「循環のストーリー」です。
このプロジェクトが掲げる「越境」というテーマには、地図上の国境を越える以上の深い意味が込められています。それは、古代と現代という「時代」を繋ぎ、伝統芸能と現代の芸能、伝統技術と最新技術などの「ジャンル」を越え、そして何より、人と人を隔てる障がいや心の壁を越えることを定義しています。プロの表現者も、地域の子供たちも、背景の異なるすべての人々がGIGAKUを介して出会い、共に歩む「行道(ぎょうどう)」の列こそが、まさに越境の体現なのです。



混沌と分断が深まる現代において、なぜ今、伎楽を世界へ帰すのか。それは、舞踊家・森山開次氏が語るように「伎楽はいろんな文化やキャラクターを乗せてきた船」だからです。異質なものを排除せず、一つの調和へと導くこの日本独自の「寛容な多様性」は、現代社会の分断を癒やす羅針盤となり得るはずです。
「伝来の地」から「発信の地」へと進化した飛鳥から、新たな「GIGAKU」が未来へと漕ぎ出します。それは、すべての境界を軽やかに飛び越え、多様な命が一つになる喜びを世界と分かち合うための、終わりのない航海です。
シルクロードを旅した芸能:飛鳥に辿り着いた「多文化の融合」の船

シルクロード
海のシルクロード

遥か西方、ギリシャやペルシャに起源を持つ仮面たちは、悠久のシルクロードを渡る壮大な旅に出ました。砂漠を越え、インドや中央アジアの色彩を吸収しながら、各地の音楽や文化を貪欲に飲み込んで磨かれたその芸能は、まさに文明が混ざり合う「多文化の融合」そのものです。
西暦612年、百済の味摩之(みまし)によって日本へと伝えられたこの「伎楽(ぎがく)」は、当時の国際都市・飛鳥に熱狂を巻き起こしました。聖徳太子は、この芸能が持つ「言葉の壁を超えて視覚的に伝える力」に無限の可能性を見出 し、仏教布教と国造りの礎としました。文明の奔流が最後に辿り着いた「終着点としての飛鳥」は、当時ラクダや孔雀、異国の人々が往来し、まるで万博のような活気に満ちた文化の交差点だったのです。
しかし、伎楽はやがて歴史の表舞台から姿を消し、その実態は深い謎に包まれました。正倉院に眠る国際色豊かな仮面や、断片的な記録を残す舞楽書『教訓抄』だけが、当時の息吹を奇跡的に伝える「1400年のタイムカプセル」となりました。
この芸能の最大の魅力は、仏法を守る「神聖性」と、酔っ払いや動物たちが笑いを誘う「滑稽性」が共存する二面性にあります。それは能や狂言、歌舞伎、そして獅子舞といった、あらゆる日本の伝統芸能の遺伝子として受け継がれた「日本芸能の源流」なのです。
「伎楽はいろんな文化やキャラクターを乗せてきた船」。 世界最古の仮面芸能は今、1400年の時を超えた最新の芸術「GIGAKU」として再び動き出しました。かつての国際都市・飛鳥の空気が、現代の私たちの感性を揺さぶる「越境」の瞬間が始まろうとしています。かつてシルクロードを旅した仮面たちが、今度は飛 鳥から世界へと、新たな航海に出発します。

迦楼羅

崑崙

治道

獅子
シルクロードを辿り、飛鳥へ。/GIGAKUプロジェクト実行委員会
1400年前に飛鳥へ伝わった仮面芸能「伎楽」は、鎌倉時代に途絶え、当時の演じ方は書物『教訓抄』に断片的に残るのみで深い謎に包まれています。この幻の芸能を現代の「GIGAKU」として蘇らせるため、私たちは伎楽伝来の地、明日香村で、「GIGAKUプロジェクト実行委員会」を発足しました。
私たちの指針となったのは、森山開次氏が、NHK BS『GIGAKU!踊れシルクロード』(2023年初回放送)で見せた探求の姿です。森山氏は、伎楽のルーツを求めてインド、ウズベキスタン、バリ、ジャワなどを歴訪し、シルクロードを旅し、かつて伎楽が異文化と交わりながら飛鳥へ伝来したプロセスを自らの身体で追体験し、独自の伎楽を創り上げました。
その映像に深く共鳴した私たちは、森山氏をアーティスティック・ディレクターとして招き、「越境のGIGAKU」を新しく創り上げることにしました。明日香村に新たな文化として根付き、これから1000年続くことを目指します。
ご支援のお願い:芸術活動基金について
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寄付受付窓口: 一般社団法人ウィルアーツ 芸術活動基金(仮称)
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詳細・お申込み: 事務局までお問い合わせください。
⾏道祭 〜明⽇⾹ロード〜 心と時を繋ぐ道
プロジェクトの第一歩として、2025年9月27日に「GIGAKU行道祭 〜明日香ロード〜」を開催しました。2023年放送 NHK BSドキュメンタリー「GIGAKU!踊れシルクロード」にて、伎楽の再現を求めてアジアを旅した舞踊家・森山開次氏をアーティスティックディレクターに迎え、プロのダンサー、音楽家、地域住民のほか、地元の子供たちが「太子キッズ」として自ら制作に関わったお面や古代草木染め衣装を身にまとい、合計約50名が参加。史跡を約3時間かけて練り歩きました。 作曲家・笠松泰洋氏が音楽監督をつとめる楽隊は、和楽器に加え、アラブの太鼓、ピアニカや日用品(フライパン等)も取り入れ、新しい明日香村のGIGAKUを発信していくべく、時代も国境も超えた「越境」の音色を奏で、沿道の観客を魅了しました。
主催:GIGAKUプロジェクト実行委員会
共催:県立万葉文化館・(一社) ウィルアーツ
後援:世界遺産「飛鳥・藤原」登録推進協議会
協力:(一社) 飛鳥観光協会・国営飛鳥歴史公園・飛鳥寺・橘寺・弘福寺(川原寺跡)
出演:森山開次、笠松泰洋、梶田留似、水島晃太郎、瀬川建、徳力一志、尾崎藏人ほか、明日香村のみなさん、太子キッズ、GIGAKU団
アーティスティック・ディレクター:森山開次
音楽監修:笠松泰洋
仮面デザイン:森山開次
仮面制作:GK Kyoto
仮面制作協力:eno design・岡村工房
衣装制作:摩耶
古代衣装染め:水谷草木染
バードコール:明日香弦楽器
伎楽アドバイザー:辰巳俊輔
写真撮影:アスカイロ
映像ディレクター:岩田三四郎
撮影:高山 剛
制作:吉本興業
Special Thanks:
明日香村
保護者のみなさん
(株)リード
(株)森山開次事務所
文化庁 令和7年度「文化資源活用事業費補助金(全国各地の魅力的な文化財活用推進事業)」採択事業
行道祭のルート
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県立万葉文化館(出発)
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飛鳥寺跡 (国指定史跡)
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飛鳥京跡苑池(国指定史跡・名勝)
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飛鳥宮跡 (国指定史跡)
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橘寺境内 (国指定史跡)
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川原寺跡(国指定史跡)
アーティスティック・ディレクター:森山開次
「飛鳥の風景の中を歩くのは心地よく、生きる喜びを感じました。伎楽は出会いの芸能であり、人と人をつなげる力があります。新しい伎楽をつくる一歩を踏み出せました」

©Sadato Ishizuka
神奈川県出身。21歳でダンスを始める。和の素材を生かした独自の表現世界に定評があり、2005年、自身の演出・振り付けによるソロ作品『KATANA』でニューヨークタイムズ誌に「驚異のダンサー」と評され、ヴェネツィア・ビエンナーレ招聘。2013年、芸術選奨文部科学大臣新人賞。同年、東京国体開会式式典演技メインパフォーマー、文化庁文化交流使としてインドネシア、ベトナム、シンガポールを歴訪。2021年、東京2020パラリンピック開会式演習・チーフ振り付けを担当した。2023年より舞台『千と千尋の神隠し』カオナシ役などダンサー、演出家の両面で唯一無二の活動を展開。現代のダンスシーンを牽引するアーティストの一人である。
2023年にはNHKBSにて放送された「GIGAKU!踊れシルクロード」(現在配信中)にて伎楽のルーツを求めてシルクロードを旅した。




































